地元を離れると家族はともかく親戚に会える機会なんかせいぜい盆と正月の年2回くらいで、じいちゃんばあちゃんなんかはあと何日一緒にいられるかわからない。
さらには親戚の飼っている犬がじいちゃんにだけめちゃくちゃ吠えるので、気をつかったじいちゃんは親戚で集まってもあんまり部屋から出てこないのでなおの事一緒にいる時間が少ない。
タバコを吸うようになってからは、じいちゃんの部屋にちょくちょく行ってタバコ吸いながら話す機会が増えて、今更になってじいちゃんと親睦が深まっている次第。
そんなじいちゃんもここ2,3年くらいからとうとうボケが始まってきてしまい、そんなに重度ではないので顔を忘れてしまったり飯食ったことを忘れてしまったりみたいな症状からは今のところはまだまだ遠いのだけれど、この前は外に出かけに行ったは良いものの何をするのか忘れて何もしないで帰ってきたとか。
対策を打つに越したことはないので、去年のお盆に認知症外来みたいなのに行って、医者に診てもらった。
認知症外来では症状の進行度とかを確かめるために、いくつかの質問がされた。晩ごはんの内容とか、100から7を引き続けるやつとか、そういうのである。一連の質問をじいちゃんは難なく答えることができていて、やっぱりまだまだ大丈夫なのかなあと少しだけ安堵した。
しかしその後「"野菜"の名前を10個挙げてください」という問題に対して、じいちゃんは「キャベツ、白菜…」と2つ3つ野菜を挙げると、すぐに黙り込んでしまった。
これもしかして結構ヤバいか?という空気が流れる中、お医者さんが、
「出てきませんか?カレーの具とか思い出してみてください」
と軽くヒントを与えると、じいちゃんはハッと顔を上げて、
「もしかして、根菜もいいの!?」
なぜ根菜を野菜に認めなかったのかはわからないが、根菜OKが出たじいちゃんはにんじんゴボウ大根……、とスラスラ名前を挙げていって残りすべての枠を根菜オンリーで埋め尽くした。
結果はほぼ問題なし。
まだまだ元気そうです、じいちゃん。